デザイン学会2018の発表とその振り返り

[Eye-cath Image : 植田育代 2018]

日本デザイン学会が大阪で開催された。ちょっと遅くなってしまったけど、共著の方の発表があるのでそれらを中心に振り返ってみようと思う。

まず、今年卒業した植田育代さんが卒業研究をまとめ直してポスター発表した。タイトルは「等角投影図を用いた理工系の研究活動の協働的視覚化」これは昨年、僕と植田さんが東北大でおこなった研究者の研究内容を視覚化したWSを基盤にしている。植田さんは研究者自身が制作に関与し、デザイナーと対話する手法として、イラスト交換というアプローチを使って、最初のWSの成果物であった手書きのスケッチを広報や論文などに使用可能なポスターデザインや説明アニメーションに昇華させた。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssd/65/0/65_500/_pdf/-char/ja

 

もう一つは、ビジュアルファシリテーションフォーラムなど色々なところでご一緒しているグラグリッドの和田 あずみさん、三澤 直加さんらと共著の「ビジュアルファシリテーションが活用される領域と役割」。様々な領域で様々な目的で活用されるビジュアルファシリテーションやグラフィックレコーディングの源流はどこにあるのか、それらは、どのような社会的な役割を担っているのかを、大量の文献を読んで体系化した研究。詳しくてわかりやすい内容についてはグラグリッドさんのエントリーをご参考に!「ビジュアルファシリテーションが活用される6つの領域って?

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssd/65/0/65_152/_pdf/-char/ja

 

最後に、故 渡辺保史さんのご遺稿を出版する「Designing Ours出版プロジェクト」をまとめた永井 由美子先生の発表。副題には「お弔いデザイン」というちょっと驚く言葉がある。永井先生がこんな印象的なことを話していた「物事の生み出し方のデザインはよく語られるけど、物事の終わり方のデザインを語る人がいないのよね」納得。そして、GKデザインの故 榮久庵憲司さんの道具寺の構想(道具の供養)のことを思い出した。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssd/65/0/65_498/_pdf/-char/ja

ということで、今回は共著という形で関わらせていただいたものが多かった。最近、僕の周りでは「自分の活動について発表したり論文にしてみたい」とか「大学院に通いたい」と話す社会人の方が凄く多い。

長生きしたり働き方の自由度が高まる時代、「働くこと」と「研究(探求)すること」が一体化していくような気がしてならない。自分のテーマを知って他者の知恵を学ぶ、そして、自分にしかできないことを見つけて記述していくこと、それは言い換えれば、研究(探求)だ。「〇〇時代に必要な〇〇スキル」とか、そういう次元のものでなはいはず。

僕自身が社会人学生として博士後期に進んだ理由の一つに、そういった人たちを支えたり、エンパワメントしたいという思いがある。そう、僕にそうしてくれる人たちのように…

と、色々と語ってしまったが、自分の研究も頑張ろう…