新刊『ひとしずくの物語に、世界は漂う/ナラティヴ・イン・デザイン、すさみ町での実践』(著者 石井 挙之、牛丸 維人、上平 崇仁、山﨑 和彦)の2章目の中のほんの少し「リサーチ・スルー・車中泊/富田誠」の原稿を担当しました。
この本は、和歌山県すさみ町を舞台に、多様な視点から「ナラティヴ(語り・物語)」を探究するフィールドワークの記録です。
きっかけは、山ちゃんこと山﨑和彦先生からお誘いをいただき、すさみ町のフィールドワーク会に参加したことでした。
さまざまなバックグラウンドを持つ人たちが、和歌山県すさみ町という街を訪れ、普段とは少し違ったアプローチで街をわかろうとする。その活動と記録がこの一冊にまとめられています。
この本で私が担当した章は、「リサーチ・スルー・車中泊」という、少し変わった実践についての記録です。
始まりは、自分自身が車中泊をする一人の実践者になることでした。
日記にも書いていますが、私は自宅に書斎がなく、EV車が“車斎”になっています。また、職場が遠いため、大学の近くで車中泊をして出勤することもよくあります。
そんな、さまざまな場所で車中泊を愉しむ人を、私は「車中ハッカー」(車中泊+Hacker)と呼んでいます。

そんな背景もあり、すさみ町でのフィールドワークには車で行き、車中泊をすることにしました。すると、なんということでしょう!すさみには、車中ハッカーがたくさんいたのです。
そこで私は、「車中泊をしている人を、車中泊しながら調べる」というリサーチ、つまりリサーチ・スルー・車中泊(Research through 車中泊)を始めました。
「もしここで泊まれるなら?」という探索と妄想から、町の資源が少しずつ浮かび上がってきます。
そして、釣りを楽しむ夫婦、週末だけ町に通うカフェの店主。車中ハッカーにじんわりと近づき、話を聞きました。
彼らは私にとって「調査する対象」ではなく、同じ楽しみを共有する仲間です。
この活動は、「知らない私が、知っているあなたから学ぶ」ものでもなく、
「知っている私が、あなたに教える」ものでもない、
教える/教わるの境界が曖昧なわかり方だったように思います。
「ウチらって、こうだよね」という感覚で、自分たちのことを共同的に探索していく。
そんなリサーチのあり方の可能性を感じました。
デザイン、民俗学、フィールドワーク、あるいは単純に車中泊が好きな人にも、
きっとどこか引っかかる一編になっていると思います。
言うまでもなく、他の著者の方々の文章も本当に面白いものばかりです。ぜひ手に取ってみてください。
発売:2026年2月14日
出版社:Xデザイン出版
ISBN:9784910984056
さらに、特別講座
「(出版記念)ナラティブ・イン・デザイン:ひとしずくの物語に、世界は漂う」(オンライン参加可)が、武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパスで開催されます。私も参加します。
- 日程:2026年3月3日(火)
- 会場:武蔵野美術大学 市ヶ谷キャンパス
- 内容:19:00–21:50 イベント・パーティ(15:00より展示・交流)
- 詳細・申込:https://peatix.com/event/4833811
書籍情報:

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