東海大学の教養学部芸術学科では「おひろめ芸術祭」という、子供向けイベントが昨年より開催されています。私のゼミで担当したブースではヒャッカソンというイベントを開催しました。
このヒャッカソンというイベントは、授業にゲストとして起こしたいただいた”やまざきはるき”さんから教えていただきました。100円ショップで買ったものを使って新しい商品を作るという「謎」イベントを開催していると言うのです。
もともとは大人向けに開催されているヒャッカソンですが、私はその話を聞いて、子供向けのイベントである「おひろめ芸術祭」で開催したいと思いました。なぜかというと、ヒャッカソンが100円ショップの商品を分解もしくは壊して新しい商品を組み合わせるという過程を経るためです。
私は子供の頃、家にあるたくさんの家電を分解しました。分解すると、その商品の構造や仕組みがわかります。さらに言えば、見た目でどれくらいゴマかしているのかということもわかります。例えば基盤を見ればその商品に対するこだわりが、子供にすらバレてしまうのです。もちろん元に戻せなくなって、親には怒られるのですが、ものづくりにとってとても重要な経験だったと思います。
最近は多くの電気製品が分解しづらくなってきましたが、100円ショップの商品は値段が100円です。100円だからといってモノを粗末にして良い訳ではありませんが、分解して壊しても大きな損失にはなりません。子供に「分解」という貴重な経験を得るためには良い材料になると思ったのです。
100円だったら100点買っても1万円程度。やまざきさんから、「原宿ダイソーがいいよ!」とのアドバイスをいただき、原宿に行ってきました。
100円ショップのものを分解して新しい商品を作る子供向けイベント、ヒャッカソンのため、原宿ダイソーに来て、ジョシに白い目で見られながら1万円分の商品を買ったなう。 pic.twitter.com/LZxlUIkI6L
— 富田 誠 (@tomitamakoto) 2015, 9月 24
もう一つ、このイベントを開催したいと思うようになったきっかけは、「創造性に対する自信」をつけることです。図画工作や美術のような学校の美術教育は、評価をしなければいけないために、「うまい・へた」がでやすい、つまり答えのある課題が出されてしまいます。IDEOの創業者であるケリー兄弟は「創造性には自信が必要」と指摘し、それを「Creative Confidence」と言っています。事実、創造的な課題解決(Design Thiking)を苦手とする多くの人が、幼少期に創造性を否定されたり評価が低かった人が多いと指摘しています。
逆に創造性のある人は、子供の頃に作ったものが褒められたということが原体験としてあるように思います。私の周りの学生やデザイナーの多くが、「子供の頃に褒められた」「高校生の頃にTシャツをのデザインをした」「名刺を頼まれた」などの小さな成功体験をしています。つまり、子供の創造性を否定しない体験の場を作りたいと思ったのです。
子供を見ていると、特に年齢の小さい子供はイメージを言葉にできませんが、そこには明確なイメージがあったりします。「こうするといいんじゃない?」と言っても微妙に表情が濁ります。言っていることを丁寧に聞いて「こういうことかな?」と言うとニンマリします。
終わった後に、学生たちが余った材料で「勝手にハッカソン」をしていました。私は、大学生の作品や卒制の指導では、私は「こーすればいいじゃん」と一方的に押し付けることろがあって、ちょっと反省をした日でもありました。
当日はやまざきはるきさんも道具を持ってかけつけていただきました。また、イベント開催にあたりヒャッカソン友の会の皆様にも様々なご助言をいただきました。この場を借りて御礼申し上げます。