4月から7月までは日記に残したのだけど8月からパタリと記録をしなくなってしまった。8月からは対面授業とオンラインの混合授業が始まり、狂ったように忙しい日々だった。2020年のまとめと2021年の予定を記しておこう。
<授業のかたち> オンラインとオフライン学生はどちらを選ぶ?
春学期は色々なタイプの授業を体験した。絶対に無理だと思っていたYoutube講義動画。今となっては「はい、皆さんこんにちは」とテンポよい出だしで撮影ができるようになっている。慣れなかったビデオ会議は、求められてもいないのにフルサイズ一眼や広角カメラを用意してビデオスイッチャで自慢げにカメラ切り替えをしている。対面でなければ無理だと思っていたワークショップは、マインドマップツールのmiroを限界まで使って実現できた。(ミロ・ジャパンさんではさまざまな日本語テンプレートを公開しているようです https://miro.com/ja/mind-map/)
振り返ってみれば色々できていた。
そして、9月からの秋学期には、オンライン授業に加えて対面授業が始まった。僕の所属する学科ではほぼ毎日対面授業が開講され、オンラインと対面との違いを味わいながら授業をしている。
学生は対面とオンラインのどちらを望むのか。例えば、僕が担当している40人程度の実習授業。「無理して登校せずオンラインで参加しても良いですよ」と伝えても、学年を問わずオンラインを希望する学生は1〜2名程度だ。感染者増加の兆しが出てきた11月に改めて強く推奨してみたが、なかなかオンラインの参加者は増えない。
一方で、オンライン授業を教室で配信してみたところ、学生が一人も来なかったという授業もあるという。
対面授業の希望度合いは、授業内容が実習的かどうかによって決まるだろう。ただ、もう一つ重要な要因がある。それは受講者に友人がどの程度いるか、つまり友達と会いたいかどうかだ。
秋学期になって、空き教室に友達同士が並んで(教員にツッコミを入れながら)受講している様子をちょくちょく見ていた。おそらく、映画と友達と見て感想を述べ合うように、友人同士で一緒に視聴し学び合うオンライン授業のやり方が必要とされているのではないかと思う。
<研究室のかたち>同期と非同期のハイブリッド
春学期にオンラインで進めていた卒業研究は、秋学期は対面に移行した。とはいえ、対面でもオンラインツール(Microsoft Teams)は引き続きフル活用していた。
車座になって話している時も、画面を見せたい人はオンライン会議を開始して自分の画面を画面共有で見せる。原稿の校正はワードの同時共同編集で赤入れする。そして、授業の終了時間が過ぎたら、オンライン上でコミュニケーションを継続する。
学生の進捗や作品データは、学生ごとに作成したチャンネルに掲載してもらった。チャンネルは全学生が見ることができるので、後輩が先輩の様子を確認することもできる。
オンラインツールを使えば、時間を共有してコミュニケーションを同期的に処理していく方法と、時間を共有せずにそれぞれが可能な時間に作業を更新して非同期型に処理する方法を組み合わせることができる。これまでSlackやらgoogle、facebookなど色々使ってきたけど、完全に移行できなかったのは、オフラインのときにオンラインを並行させて使ってこなかったからかもしれない。
<はたらく場>サテライトオフィスとしてのコワーキングスペース
家から自転車で10分もしないところにあるコワーキングスペースを契約した。僕は3世帯が暮らしていている家に住んでいる。周りの目を意識していたらYoutuberはできない。コワーキングスペースの会議室や電話ブースを借りれば、ヒカキン並のテンションで撮影が可能だ。
コワーキングスペースは24時間365日利用できる。元旦の今日、こうやってブログを書いているように、休日に家族が寝ている間に、映画を見ている間に、サクッと家を出てほんの仕事をするだけで余裕が生まれる。
問題は費用。実は大学に行くだけで車で往復3時間かかる上に、高速代とガソリン代を加えると1日4000円近い交通費がかっている。職場から支給される上限交通費の3倍程度の実費だ。交通費が少なくなった分をそこに割り当てているということにして、自分を納得させている。
ワークスペースが充実した家づくりがトレンドのようだが、それが難しい都心部では、家の近くのコワーキングスペースを第二の仕事場にする人が増えるかもしれない。
<研究> 研究のストップ、そして休学
4月に大学がフルオンラインになるときに、研究ができない1年になると覚悟した。予想した通り、論文はほとんど書いていないし発表も2回程度しかできなかった。しかも、僕の研究テーマは専門家同士の対話で、その手法の基軸は対面でのワークショップだ。通っていた筑波大学も休学せざるを得なくなった。
さらに、企業からの依頼の講演やワークショップの依頼が減った。その分、時間に余裕ができたはずなのに、休まる日は全くなかった。教育研究学務のオンライン化という大きな経験を得たが、研究に関しては失ったことが多かったのが2020年だった。
僕だけでなく、世界中のあらゆる人たちが色々なものを失ったのだろう。単位を落としがちだった何人かの学生に個別に声をかけた。ご家庭やプライベートにおいて想像できないようなトラブルを抱えていた。一方で、全く問題ないどころかオンラインの方が楽だったという学生も多くいた。コロナの難しい問題は、「STAY HOME」という人類共通の体験があることで、むしろ、特定の人たちに降りかかった大きな苦しみが把握されにくいことにあるのかもしれない。
大変ありがたいことに、2021年度4月から9月末までは特別研究休暇をすることができた。この期間は授業も学務も担当する必要がなくなり、研究に専念することができる。
筑波大学に復学して論文を仕上げ、最終年度である科研の成果をまとめようと思う。その他には国内の複数の大学に研究員もしくは研究交流でお邪魔する予定だ。これから色々な形にお会いして研究を進めていきたい。