実践型デザインスクールのDesignship doの週末に学べる短期講座ウィークエンドクラスで、近代デザイン史講座を担当することになった。開講日は10/1(デザインの日)のオンライン4時間連続で1日のみ。
この講義については、Designship Doで運営に携わっておられ先日は認知科学とデザインに関する講義を担当された吉橋先生からお声をかけていただいた。先端的なデザインの知識・技法・思想を学び合うDesignship Doで歴史の授業とは面白い(しかも大切な視点だ)と思った。
とはいえ、僕がデザイン史そのものを専門とする研究者ではなかったことから(学会などで歴史に関する発表をしたことがない)私でよいか不安に感じていた。一方で、私自身が大学のデザイン史担当になったり、企業のデザイン活動の助言をするために、デザインの歴史を学び直したなかで感じた「デザイン活動の土台的知識」を学生以外にも触れて欲しいと思っていた。そして、第一線で活躍されているみなさんとの対話を通じて、何か新しい相互作用が生まれるような気がしてお引き受けした。
デザインの歴史が示すように、デザインとは科学・技術・経済・社会の変化と共に変容しつづける運動だと思う。では、その変容とは何か。OSアップデートのように工学的な更新をし続けるものなのだろうか?あるいは雪だるまのように巨大化し影響力を拡大し続けるものなのだろうか?デザイナーの持つ職能は昔よりも今の方が複雑で高度なのだろうか?変わらないデザイナーの視点、態度はどこにあるのだろうか?
この講義では、短時間ではあるものの(といっても4時間連続は長いけど)、過去の社会と現在の社会、過去の出来事と参加してくださる方との活動との共通点を見出せるよう、区分化された芸術様式や運動からデザイン史を理解するのではなく、3名の先駆者的デザイナーに焦点を当てて理解してみようと思う。
例えばアール・ヌーヴォーとか、アーツ&クラフツ運動などのまとまりをもったムーヴメントは歴史の流れを理解するには必要な知識ではあるけども、そのような区分でみると、結果に関心が向いてしまうように感じる。むしろ、1人のデザイナーはどのような社会的な環境から、どのような意志をもって周囲の人たちと「状況的に」デザインを立ち上げていったのかに関心を向けると、自分のデザイン活動との関連が見出せるように思っている。
3人の偉人のうち1人目は、デザインの父とも称され友人たちと生活空間のデザインをおこなったウィリアム・モリス。2人目は、企業のデザイン顧問という立場でトータルデザインをおこなったペーター・ベーレンス。3人目は、研究者や芸術家と情報デザイン活動をおこなったオットーノイラート。もちろんこれ以外にもさまざまな著名なデザイナーはいるけども、できる限り領域や時代、そしてデザインの立ち上げ方が異なるデザイナーを選んだ。いや、正確に言うと私が面白いな、素敵だなと思った3人なのかもしれない。
ちょっとまった。ここまで書いて思ったけど、この講義に関する期待を上げすぎ…!? 初めての4時間連続の社会人向けの歴史の授業ということで、本当はどうしよう….となっている。大学の講義では寝ちゃう学生さんもいるくらいだし…
ということで、Designship Doのスワンさん@shiratoriyurieや、吉橋先生らにご相談をしながら授業設計をしている。
有料ではございますが、こんな講義にご関心のあるかたおられましたら以下よりどうぞよろしくお願いします。